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健康づくり

高血圧の人は増えている?

大阪府医師会 理事 加納 康

超高齢社会の到来が叫ばれ始めて久しいこの頃ですが、その流れのなかで我々は年を重ねているわけです。平均寿命が何歳だとか、100歳以上の方が何人だとか聞くと高齢化が進んでいると思う半面、現実的には高齢化を実感することは意外に少ないのではないでしょうか。

昔から年齢が高くなると血圧が上がってくることは知られていました。日本での国民健康・栄養調査(平成18年)によると、60歳代の61%が、70歳以上の72%の人が高血圧であるという結果が出ています。つまり、高齢者が増えれば高血圧の人も増える。とすれば、高齢社会とは高血圧社会とも言えます。「自分の年齢に90を足した値がその人の収縮期血圧(いわゆる「上の血圧」)だ」と聞いたことはありませんか?このように加齢とともに人の収縮期血圧は上昇しますが、拡張期血圧(いわゆる「下の血圧」)は逆に低下してくることが知られており、心臓・血管病のリスクと言われています。また、60歳以上の人を対象として検討されたある研究によれば、収縮期血圧140¥外字(8423)Hg以上、拡張期血圧80¥外字(8423)Hg以上で心臓・血管病にかかりやすくなるという調査データがあります。

では、高齢者の高血圧は積極的に治療したほうが良いのでしょうか?かつては高齢者の高血圧の特性を考えて、薬物治療には積極的でない考えもありました。しかし、近年ではたくさんの科学的なデータの解析が進み、日本高血圧学会が昨年発表した高血圧治療ガイドラインによると、「高齢者でも最終降圧目標達成のために積極的な治療を行う」こととなっています。つまり、その方が患者さんにとって利益が大きいということなのです。ただし、高齢者の特性に配慮した治療戦略が重要ですので、かかりつけの先生によく診てもらいながら、あせらず治療することをおすすめします。

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