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健康づくり

正しい睡眠習慣を心掛けましょう

大阪府医師会 理事 阪本  栄

「不眠に悩んでいる高齢者が少なくありません。65歳以上の3〜4人に1人が、眠れないと悩んでいるとも言われます。夜寝つけない(入眠困難)、夜中に何度も目が醒める(中途覚醒)、朝早く目が醒める(早朝覚醒)、眠りが浅い(熟眠困難)など内容はさまざまです。しかし、これらすべてが病気(不眠症)というわけではありません。

一般に、睡眠は個人差が大きく、加齢とともに夜中に目が醒めたり、朝早く目が醒めたりしやすくなります。必要以上に睡眠について神経質になる必要はありませんが、正しい睡眠習慣を心掛けることは大切です。意外に間違った生活習慣が不眠の原因になっていることもあり、この場合の多くは睡眠剤、安定剤を使用する必要はありません。例えば、眠れないからと毎日寝る前に多くの酒を飲んだり、体を疲れさせようと日中に激しい運動をしたりする人がいますが、酒は睡眠の質を悪くしますので、睡眠目的の飲酒は好ましくありません。運動も翌日に疲れが残るような激しいものはかえって良好な睡眠を妨げますので、継続可能な軽いウォーキングなどが良いでしょう。

また、昼寝も注意が必要です。皆さんも経験があると思いますが、脳をリフレッシュさせるのに日中の短時間のうたた寝は効果的です。しかし、夜の睡眠への影響を考えると40〜50分までにしましょう。明るさの「めりはり」も大事なことです。起床時にはカーテンを開けて部屋に十分な光を入れましょう。就寝時には十分に照明を落としましょう。

ところで、最近、高血圧、糖尿病などの生活習慣病と睡眠との関連が指摘されています。十分な睡眠がとれないと、これら生活習慣病の治療に悪影響を与えると言われています。生活習慣病の治療には、睡眠の状態にも配慮する必要があります。朝の目覚めが良く、日中の仕事、家事などに影響がなければ、多くは睡眠に問題がないと思われます。

ただし、以前に比べて睡眠がとりにくくなり、さらに「日中眠い」「集中力・注意力が低下している」「疲れやすい」などの状態が続くようであれば、かかりつけ医に相談されることをお勧めします。なお、不眠と睡眠不足(夜ふかしも含む)は、似て異なりますのでご注意を。

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