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健康づくり

高齢者の痛み

大阪府医師会 理事 寺元  隆

日本はこの20〜30年間で急速に長寿化が進み、「高齢社会」から「超高齢社会」を迎えようとしています。それと同時に、この間で「痛み」に対する医学的な診断、治療が飛躍的に進歩しました。かつては痛みと言えばほとんどが「神経痛」と診断された上で治療が行われ、検査もエックス線撮影が主流でした。しかし、その後、エコー、CT、MRIなどの画像診断装置が開発され、飛躍的に改良された結果、痛みの種類を判別できるようになりました。同じような痛みでも、いわゆる老化現象から来る痛みに代表されるような日々うまく付き合っていかなければならない痛みと、重症の場合には手術をも必要とする病的な痛みがありますので、痛みの原因がどのようなものであるかについてはぜひ、専門の医師の診断を受けてください。

病的な痛みの原因としては、骨が弱くなる「骨粗鬆症」、脊髄の通り道が狭くなる「脊柱管狭窄症」、一部椎間板が脊髄の方に突き出して圧迫する「椎間板ヘルニア」、両下肢の血流の悪化が原因の「慢性閉塞性動脈硬化症」などがよく見られる疾患です。このように原因となる疾患が異なると、治療方法もそれぞれ全く違ってきます。また原因が複合している場合もあります。これら疾患の診断方法、治療法も飛躍的に進歩していますので、痛みの原因がどこにあるのかを知るためにも、ぜひ、医師の診断を受けてほしいと思います。

最後に、痛みの症状が出た場合はまず医療機関を受診し、必要に応じて検査を受け、痛みの原因を調べてもらいましょう。その後は治療方針を医師とよく相談して決めてください。ほとんどの場合、お薬やリハビリ、点滴治療、神経ブロック注射などの治療で痛みは緩和されますが、手術が必要なケースもあります。最近では手術手技も大変進歩し安全に行えるようになりました。

皆さんには、それぞれの病状に適した治療方法を選択することによって、日々の生活の質を向上させて元気で痛みのない毎日を送ってほしいものです。

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