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健康づくり

高血圧には気をつけて

大阪府医師会 理事 澤村 昭彦

そろそろ日も短くなり、朝夕涼しく感じる季節になりました。今回は、多くの方に関心のある血圧の話をしたいと思います。動脈硬化は年齢を重ねるにつれ進みます。血管の壁の弾力性が失われることで、心臓が収縮した時の血圧(最高血圧)は上昇し、逆に心臓が拡張した時の血圧(最低血圧)は低下します。上下の血圧の差を「脈圧」と呼びますが、高齢者ではこの「脈圧」が大きいのが特徴です。血管が硬くなるにしたがって最高血圧は上昇しますから、65歳以上では6割の方が高血圧という報告もあります。また、高齢になると血圧の変動も大きく、1日のうちの変動はもちろん、座った姿勢から急に立ち上がった時、あるいは精神的ストレスなどで、短時間内でも刻々と血圧が上下する場合が多いようです。

このように、高齢者では様々な条件で血圧が変化しやすいため、治療を始める場合にも若い世代とは違った対応が必要になります。さらに、高齢者は、脳の血流を一定にするような自動調節機能が低下しているため、降圧剤による立ちくらみなどの副作用が出やすいといった危惧もあります。

降圧目標は、75歳くらいまでの方であれば若年者・壮年者と同様に最高血圧を140未満・最低血圧を90未満としていますが、ゆっくりと時間(3カ月以上)をかけて下げることが重要です。また、75歳以上の場合は上を150未満とした暫定目標をとる考え方もあります。もちろん、長年血圧の治療をしてきた患者さんは、高齢になったからという理由だけで目標血圧を緩めても良いということではありません。

年配の方ほど高血圧症のほか、糖尿病や腎臓病、さらに骨粗しょう症や前立腺肥大、心不全といった種々の病気を併せ持つ場合が多くなります。これらをすべて治療するためには薬の種類も増えてしまいますが、合併症に少しでもプラスに働く薬を選んだり、服用の仕方をなるべく単純化したりする工夫は可能です。複数の医療機関を受診されている場合には、高血圧以外に指摘された病気や検査値の異常などを医師に伝えることも大切であると思います。

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